東北大学新聞:

特集 突撃!となりの研究室

「突撃ッ!隣の研究室」4回目となる今回は、農学研究科の五味勝也教授(生物産業創成科学専攻)の研究室へお邪魔した。

この研究室の専攻は遺伝子情報システム学で、特に麹菌(こうじきん)の研究に力を注ぐ。麹菌とは古くから日本人になじみの深い味噌や日本酒などの醸造の過程において重要な役割を果たす微生物であり、その安全性や生産性は高く評価されている。本研究室は、本学の大学院重点化に伴い1998年に新設され、今年で 10周年をむかえる。基礎研究に重点を置き、昔から経験的に伝えられている酒造の仕組みなど、我々が日常生活で感じる「疑問」を生命工学の観点から紐解き、産業分野に発展させようというのが基本方針となっている。
具体的には、麹菌を代表とする菌や酵母のゲノムを解析することで、個々の遺伝子の特徴を調査する。また、人間の遺伝子と似た特徴をもつ酵母を利用することで、特定の病気の原理を探るなど医学的な試みも行っている。
麹菌は日本古来の微生物であり、その能力は高い。様々な酵母や微生物の研究が世界中で行われている昨今において、我々日本人が麹菌の研究をするのには非常に意義があるという。
研究室が基礎研究に重点を置いていることに関しては「しっかり腰を据えて基礎から研究できるのは大学でなければ無理。基礎分野に習熟することで新たな発展に結びつくケースもまれではない」と語る。教授自身、興味関心を持ったことには積極的に挑戦してみることをモットーにしている。とにかく実験をしてみて、その結果から理論を構築していくという手順を取る。「カーテンが幾重にかかっていても、一枚めくれば少しは視野が広がる。それを繰り返せばやがて向こうが見えてくる」とゲノムの解析を行う研究者ならではの地道な考えを語ってくれた。
さらに五味教授は、本学創立100周年を記念して製造された日本酒「萩丸」の企画委員も務めている。「萩丸」は本学が一ノ蔵に製造を委託したもので、その麹菌および酵母の選定、醸造管理は五味教授が行った。現在は東北大学生協農学部店で購入することができる。

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