東北大学新聞:

新しい血管弛緩機構を解明

本学医学系研究科(循環器病態学分野)の下川宏明教授らの研究グループは、新しい血管弛緩機構を解明した。

血管の内皮細胞は、「内皮由来弛緩因子」という血管弛緩因子を産生・遊離している。それには、プロサイクリン(PGI2)・一酸化窒素(NO)・内皮由来過分極因子(EDHF)の3種類がある。EDHFの本体については、様々な物質の存在が主張されているが、下川教授らは2000年に過酸化水素と特定。しかし、その詳しい産生機構は不明だった。
今回下川教授らは、NOとEDHFの産生源が近似していると仮説し、マウスを使い実験を行った。NO合成酵素には、内皮型・神経型・誘導型の3種類があるが、その3種類の合成酵素を全て欠損させたマウスと、正常のマウスでの、弛緩因子の働きを比較した。
その結果、同じNO合成酵素系が、太い血管ではNOを、細い血管ではEDHFを産生して、血管を弛緩させていることを明らかにした。血管径により、明確な役割分担が見られた。
さらに、マウスを使って行った実験において、NO合成酵素完全欠損マウスには、EDHFによる弛緩反応が消失しただけではなく、ヒトと酷似したメタボリックシンドロームが生じ、心筋梗塞による死亡も多発したことから、今回の発見は動脈硬化や代謝性疾患などの治療法の開発に結びつくと期待される。
今回の発見に関して下川教授は「NO完全欠損マウスの作製に3年かかったが、苦労した研究の芽が出始めて嬉しい」と話す。
今回の発見は、トップジャーナルの一つである米国の医学誌、「The Journal of Experimental Medicine」に掲載された。

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