東北大学新聞:

高感度センサの製品実用化に成功

本学大学院工学研究科技術社会システム専攻の須川成利教授のグループと、日本テキサス・インスツルメンツ株式会社が、03年から共同で開発していた高感度ワイドダイナミックレンジCMOSイメージセンサの製品実用化に成功した。

明暗の差が大きい条件下においても高画質で撮影が可能なため、監視カメラなどへの応用が期待されている。
通常、画素ごとにフォトダイオードという半導体があり、それに光が当たった時に光電効果で電子ができる。その電子を一旦蓄積し、電気信号に変換することによって撮影している。
ダイナミックレンジとはどれだけの明暗の差があるかを示す値で、大きいほど明るい部分も暗い部分も撮影することができる。
暗い部分を撮影するには感度を上げる必要があるが、その際明るい部分では画素内のフォトダイオードに当たる強い光により過剰な電子ができ、フォトダイオードからあふれて、捨てられてしまう。さらにあふれ出た電子のため、信号が振り切れてしまい、その部分の画像は白く輝いて判別できなくなる。このように、ダイナミックレンジと感度はトレードオフ(二律背反の関係)にあるとされている。従来のCCDイメージセンサ(光発生電荷を電荷結合素子を用いて転送し電圧信号に変換して読みだす固体撮像素子)やCMOSイメージセンサ(相補性金属酸化膜半導体を用いた固体撮像素子。画素毎に増幅器を持つ)では、これに対して、複数回シャッターを動作させて、複数の画像を合成してダイナミックレンジを広くするという手法が取られてきたが、この手法ではタイミングの異なる画像を合成するために、ズレが生じるという問題があった。
今回実用化に成功した製品では、画素内のフォトダイオードの横に、横型オーバーフロー蓄積容量(LOFIC)構造という、光が強いときにフォトダイオードからあふれる電子をためておくことができる構造を作っている。画素内には光が弱いときに高感度で電子を蓄積・検出する容量と、光が強いときにあふれる電子をためる容量(LOFIC)の2つの容量が存在する。画質を劣化させず、1回の動作で同時に、広いダイナミックレンジで撮影することが可能になった。
他の高感度カメラに比べても画質が劣らずに、明るい部分も暗い部分も同時に撮影できるため、応用が可能な分野は幅広い。現在は社会問題となっている防犯に役立てるために監視カメラへの使用が見込まれているが、今後は交通事故の際に役立つ車載カメラなど様々な利用が進んでいくものと期待されている。
今回の製品の開発では、国際固体素子回路会議(ISSCC)などの権威ある国際学会において大学院生が発表を行って表彰を受けている。

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