地域分散型エネルギー社会へ
本学農学研究科両角和夫教授ら研究グループは10月、東京大学・山形短期大学と共同で地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会を目指すプロジェクト「東北の風土に根ざした地域分散型エネルギー社会の実現」を開始した。
科学技術振興機構(JST)が平成20年度社会技術研究開発事業の一環として企画を公募、これに両角教授ら研究グループの企画が採用され、研究費として1億円が給付された。研究開発期間は平成20年10月から平成25年9月30日までを予定している。
このプロジェクトの目標は大きく分けて2つある。1つ目は地域の再生可能エネルギーや資源を最大限活用できるようなエネルギーシステムの開発である。2つ目は開発したこのようなエネルギーシステムを実在する地域社会に実装し、「エコミュージアム(地域まるごと博物館)」として実現させ人々に公開、社会にカルチャーショックを与え、意識転換を促すことである。これらの開発研究は宮城県川崎町、気仙地域そして山形県西川町大井沢地区で地域住民の協力のもと行われる。
両角教授は、ここ数十年で林価が下がり、利益が少ないとの理由で放棄されていた間伐材に着目。川崎町では川崎‐仙台薪ストーブの会による里山の手入れとともに薪ストーブ用の薪を供給し、自給自足システムの構築を図る。また薪ボイラーを使った熱供給ビジネスも研究する。気仙地域では、木炭と家畜のふん尿を混ぜて作った藻礁を海の中に設置し海藻を造成、海藻の消失で生物が減少する「磯焼け」を解消する計画や、間伐材を利用した木炭発電によるビジネスが研究される予定である。これらで得た研究成果は、グリーンツーリズムが盛んな山形県西川町大井沢地区に実装され、「エコミュージアム」として人々に公開し、見学に来た人々の意識転換を狙う。
同時にこれらの開発研究が実現した際に起こる法制度や社会制度の問題点及び解決策も調査される。この計画で推定される二酸化炭素の削減量は、年間約79万トン。これは東北地方で家庭や企業が排出する二酸化炭素の約11%にあたる。

