冬期出産妊婦の血圧上昇を確認
本学薬学研究科の今井潤教授らの研究グループが、妊婦の季節による血圧の変動を調査し、冬期に出産する妊婦は血圧が上昇しやすいことがわかった。
今回の研究ではスズキ記念病院に通う妊婦101人を対象に、妊娠期間の血圧の変化を測定した。
一般的に人の血圧は冬に上昇しやすいこと、また妊婦は妊娠期間により血圧が変化することは知られていたが、今回の研究により2つの要因は結びつき、冬期に出産予定の妊婦は特に血圧の上昇が大きいことが確認された。
具体的には7月出産予定の妊婦は、季節によって血圧がもっとも低くなる夏期に出産を迎えるため、妊婦の血圧は妊娠期間を通してほぼ安定しているが、1月出産予定の妊婦は季節による血圧上昇がもっとも高い冬期に出産を迎えるため、それが出産期の血圧上昇と重なり、特に大きな血圧の変化をもたらす。妊娠期間中の最も血圧が低いときと高いときの差は7月出産予定の妊婦が3・1mmHgであったのに対し、1月出産予定の妊婦では12・8mmHgとなった。
今回の研究成果により妊娠時高血圧症候群の早期発見・予防への期待が高まる。妊娠時高血圧症候群とは、もともと妊娠中毒症の名称で知られた症状で、妊娠時に血圧が上昇し、けいれんなどの症状を引き起こし、場合によっては死に至る危険性もある。妊婦の約10人に1人が発症するといわれる。
妊娠時高血圧症候群が早期に発見されれば、薬により血圧を下げる、症状が悪化する前に帝王切開などで出産するなど、医療機関との相談により様々な早期対策が可能となる。今回、出産予定時期と血圧の変化の関係が報告されたことで、冬期出産予定の妊婦に対して、医療機関と妊婦本人の両方が、より血圧変化に注意し、不審な点があれば、はやめに医療機関に相談することが期待される。そのためにもまず妊婦自身が家庭での血圧測定を怠らないことが重要となる。
今回の研究に携わった本学医学系研究科の目時弘仁研究員は「家庭での血圧測定が貴重なデータとなり、医療の向上につながる。妊娠はリスクを伴うものだがそのリスクを正しく把握し、常によりよい医療を目指したい」と語った。
血圧上昇に関するグラフ
