報道部のサボり魔、全部授業に出る
毎日の授業に出るのは学生として当たり前だ。たとえ前日、飲み会で泥酔状態に陥り、ズボンを脱いでしまっても、出題されたレポートが完成しておらず留年の危機にさらされているとしても、出席しなければならない。
それ以外にも素で授業というものを無意味なものと達観し、自分の自主休講の理由を授業のせいにしているやつもいる。
我らが東北大学新聞編集長Kもまた、そんな人間の1人である。彼は部内で、履修教授(自主休講研究科履修放棄専攻)・休講の天才(単なるサボり魔)etc.と言われている。口癖は「今日は全休にしよう」である。ある意味、伝説的な存在で自主休講と履修放棄の相談役として崇められている。
そんな彼がある日、こんなことを言った。「授業に出るなんて簡単だ」これまでの学生生活を忘れてしまったかのような言葉。ついに心変わりする時が来たのか。それとも気分でも悪かったのだろうか。
朝さえ起きられれば苦はないというので、1日5コマ、1週間で計25コマのフルコマで授業に出るという無謀極まる挑戦をしてもらうことにした。
Kに意気込みを聞いたところ、余裕しゃくしゃくだ。カラオケで夜を明かし、部室で寝泊まり、寝ていたから授業に出られなかったなどザラにやる男の言葉とは思えない。まあ、セイゼイがんばってもらおう。
挑戦前日、突貫で時間割を決めてもらった。時間割の中には文系のKには全く理解できないであろう数学、物理、生物なども入っている。これに関してはせめて寝ずに授業を聞ければ万々歳だろう。初日を乗り切れるかどうかがすでに不安である。いきなり企画倒れにはならないでほしい。
まずは月曜日。早速だが、1限、2限と早退したらしい。やはり、長年培われてきたサボり癖は簡単には変わらないのか。それでもKは残りの授業にはちゃんと参加した。私に罰ゲームを課すぞと脅された甲斐があったか。月曜の5限を終えての感想を尋ねたところ、
「オレ、文学部でよかった。やはり学部の選択に間違いはなかった。」
と冷や汗交じりに答えた。3限が相当応えたらしい。
その後Kは、火曜日、水曜日となんとか遅刻も早退もせずにこなしていった。その間、だんだんとKの目にできたクマは大きくなっていった。毎朝7時に起きなければならないのはやはり大変らしい。水曜にその姿を目撃した部員によれば、
「川内の北と南をものすごいスピードで移動していた。」とのことである。無茶な時間割のせいで移動を余儀なくされることもフルコマ生活の特徴である。
木曜日。この日の昼なんとKは報道部の仕事、つまり取材が入っていた。自分では多忙だと言っているがあわよくば3、4限をボイコットするつもりではないか。しかし、人生そんなに甘くない。部員のOが、
「よし代わってやるよ。Kのためだからな(訳:他人の不幸は蜜の味。ケッケッケッ)」
高笑いをしながら行ってくれた。そんな中そろそろ休みたいという欲求が通じたのか5限は普通に休講。ついに超能力に目覚めたらしい。夕食の誘いも断り寝るためにけだるい足取りで帰っていった。
そしてついにやってきた金曜日。これで彼のフルコマ週間は終わりとなる。その顔は週始めに比べやつれていた。といってもそれは授業だけが原因ではない。Kは前日の夜、疲れた体にムチ打ってカラオケに出かけたのだ。そのままオールナイトして、部室に泊まったという。
「あほだこいつ」
と思われる方もいるかも知れない。だが、これは仕方ないことなのだ。彼は3度の飯よりカラオケが好きという人なのだ。喉はガラガラ、頭はガンガンひどい状態だ。
しかし、徹夜でへろへろな状態ではあったが、それでも彼はやりきった。ついに最後の5限。その顔にはようやく解放されるという安堵感があった。しかも編集長の座にふさわしい、「新聞から見た現代社会論」である。
ようやくフルコマ週間は終わった。最後にKに感想を聞いたところ彼は
「さすがに面白くないものもあるなあ。授業に全出席するより部室でまったりしていた方が楽しい。」
と語った。やはり長年培われたサボり魔気質は健在の様子。皆さんはこうならないようにしたいものだ。
