東北大学新聞:

DV訴訟問題 研究科の対応はいかに

08年7月10日、国際文化研究科教授が京都市在住の女性からドメスティック・バイオレンス(DV)を理由に300万円の損害賠償を求められた訴訟の控訴審判決が下り、仙台高裁は一審判決に続き教授の暴行を認めた。

判決によれば、「06年6月20日、学会に参加するため訪れていたドイツのドレスデンにあるインターネットカフェで教授と女性は口論となった。教授は椅子に座っていた女性を突き飛ばし、けがを負わせた。教授は公費出張中で、女性は教授の求めに応じて同行した」。
およそ1年前に判決が確定してから、大学はどう受け止め対応をしたのか。報道部は09年7月2日付で大学へ質問状を提出した。回答期限は8月2日とした。


【質問の概要】
(1)08年10月14日付の本紙369号において、判決確定を受けてどう対応するのか尋ねたところ、石幡直樹国際文化研究科長(当時)は「民事不介入の原則から、教授を処分することはない」と答えた。係争中、平成19年10月5日付通知で、石幡直樹前国際文化研究科長は教授に対し「職員就業規則第50条に基づき、文書により注意」した。判決が下りその後、大学はどう対応を取ったか。
(2)石幡研究科長(当時)が大学の考えとして述べた「民事不介入の原則」は警察に関して聞いたことがあるが、大学にも当てはまるのか。大学の規程として法的な根拠はあるのか。なお河北新報によれば、00年7月7日、セクシュアル・ハラスメントをしたとして国際文化研究科の助教授に対し仙台高裁は900万円の支払いを命じた。これを受け、大学の臨時評議会で、助教授の懲戒免職処分を全会一致で決めた。これは「民事不介入の原則」に反すると考えられる。
(3)第一審係争中、教授は「小説の挿絵に使う」といって目的を偽り、本学の元留学生を原告女性役としてDVがあったとされる当時の「再現写真」を撮影し、元留学生に無断で裁判所に37枚を提出した。このことを元留学生は大学へFAXで訴えたと聞いている。
08年4月14日付本紙365号において、石幡研究科長(当時)は「被害者や関係者からの訴えなしには調査できない」と答えた。原告女性も大学へ文書で対応を求めている。今回は「被害者の訴え」があったのだから、調査の必要性があると考えられる。大学は訴えを受けて、調査したのか。
(4)教授は07年後期から09年前期まで2年に渡り、学部および大学院の授業を「自粛」し、持っていないのは本当か。
(5)裁判資料乙第53号証の4によれば、教授が授業を「自粛」したのは実質的に大学の命令に従ったからだと考えられる。石幡研究科長(当時)は荒井克弘学務審議会委員長から教授に対して次のような「要請」があったとメールした。教授は、「私生活の話などがたびたびマスコミに報じられ、全学教育を受講する学生およびその保護者に疑念と不安が広がっている。全学教育における混乱を招きかねない状況なので、教授には英語科目の担当を平成20年4月から1年間自粛していただきたい」。そして「副研究科長、科長補佐、事務長と協議し、やむを得ないと判断いたしました。したがいまして、荒井委員長の要請に応じて、平成20年度の全学教育科目を自粛されることを希望します」(原文ママ)と述べ、石幡研究科長(当時)は教授へ返答を要請した。これは実質的に、授業の禁止命令と考えられる。しかし、報道部の取材に対し石幡研究科長(当時)は「自粛」と答えた。なぜ「禁止」ではなく「自粛」としているのか。
(6)第一審係争中、教授は外国の方から証言を取るため研究室のFAXで遣り取りを行ったことが記録に残っている(裁判資料乙1号証の2)。教授は、職務をする場所の研究室で私的な訴訟対策を行っていたと考えられる。本学「職業倫理規程第3条2項」によれば、「職員は、その職務や地位を私的利益のために用いてはならない」と定められている。大学はこれを把握していたか。
(7)教授のブログにバナー広告が掲載されたことがあった。教授は広告収入を得ていたと考えられる。本学「職員就業規則」によれば「兼業を行おうとする場合、許可を得なければならない」と定められている。大学は広告の存在を把握、し兼業の許可をしたか。

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