東北大学新聞:

突撃!!隣の研究室 理学研究科天文学専攻

「突撃ッ!となりの研究室」第10回となる今回は、理学研究科天文学専攻の、市川隆教授の研究室に伺った。

この研究室では宇宙の果て近くの銀河の性質を研究している。銀河の観測に使われるのは赤外線という、目で見ることのできない電磁波だ。宇宙が膨張しているため、遠くの宇宙から届く可視光の波長はドップラー効果で長くなってしまうことが原因だ。
目標は、宇宙の果ての、銀河の宇宙地図を書くこと。古い銀河や新しい銀河、また、謎が多い物質であるダークマターの分布を地図に表現する作業だ。すでに地球周辺の銀河の宇宙地図は完成しているが、宇宙の果て近くの宇宙地図はまだ誰も書いていない。そこで、宇宙の果ての宇宙地図を作り、それを解析することで未知の性質を見つけようとしている。
これまで、市川教授の研究室は、ハワイのすばる望遠鏡を使って研究を行ってきた。モアックスと呼ばれる世界最高精度の赤外線観測装置を発し、南半球にあるVLTというライバルの研究施設に先立って研究が進んだ。しかし、すばる望遠鏡を使って観測をしたいという研究者は多いので、なかなか使用することはできなかった。目標とする宇宙地図の作成には長い時間がかかり、現在までに書くことのできた範囲はほんのわずかだという。そこで、現在は南極に新たな望遠鏡を設立することを目指している。南極の内陸には日本のドームふじ基地があるため、その近くに望遠鏡を作れば、海外の研究者に譲ることなく、自分の研究をする事が出来る。また、晴れの日が多い、観測の邪魔になる地球大気中の赤外線が極めて弱いなど、観測に都合のよい条件がそろっているためだ。現在研究室では、南極の低温の環境でも正常に作動する装置を開発中だ。装置の開発というのは理学部というより工学部の分野というイメージだが、宇宙の果てというまだ誰も見たことがない世界を見るためには必要な装置から作らなければならない。また、以前からこの研究室では実験装置を自作するという方針をとっており、すばる望遠鏡で使った装置も自作のものだ。自分たちの作った装置が正常に作動し、観測ができた瞬間は大きな感動を覚える、と市川教授は語る。
「天文学はすぐに世の中の役に立つような分野ではないかもしれない。それでも天文学の研究をする理由は好奇心だ。世界で誰も見たことのない世界を自分たちが初めて見ることができる。そしてこれは100年後の教科書を作っている作業であり、喜びを感じる。」と最後に天文学の魅力を語ってくれた。

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