教授ら4人、総長を大学に告発
日野秀逸名誉教授と大村泉教授(経済学研究科)、高橋禮二郎客員教授(国際文化研究科)、松井恵弁護士の4人は10月9日、井上明久総長らを著者とする金属ガラスの論文や井上総長らが取得した特許に関する研究不正を、東北大学へ告発した。
4人は7月9日に日本金属学会へも告発したが、受理されなかった。今度の大学への告発は、学会の回答と梶谷論文に対する井上総長らの回答を踏まえ、補強されている。特に、井上総長らが取得した特許に関する疑惑は、学会への告発状にはなかった点。「特許と93年の論文では異なる手法で金属ガラスを作製したにもかかわらず、試料のX線回折図の波形が酷似している」と、データの使い回しの疑いを指摘した。
07年12月、匿名の告発に対して大学の対応委員会は「告発に合理的根拠がない」として調査を打ち切っており、今度の大学の対応が注目される。
7月9日、4人は日本金属学会へ告発。学会は「4人が挙げた3つの証拠は、すべての可能性を排除できておらず、不正行為と断定する科学的合理的理由がない」として受理しなかった。
8月21日、これに対し4人は学会へ申入書を送り、反論した。「『日本金属学会 学術誌の不正行為対応規程』3条に、『告発には不正行為と断定するに足りる科学的合理的理由が必要』とは書かれていない」と指摘。さらに同6条を挙げ、「本調査の要請は『不正行為の可能性が高い』ことが要件とされているのに、その前段階の告発の受理で『断定』という厳しい要件を求めるのは、明らかに解釈の誤り」と批判した。
9月4日、学会は「この回答をもって最終とし、以後は一切受付けない」と断った上で4人に回答。「科学的合理的理由がないことの心証の程度を表現するために『不正行為があったと断定する科学的合理的理由』と記載したわけではなく、あくまで『不正行為があるとする科学的合理的理由』があるものとは認められないという趣旨」(原文ママ)であると返した。
9月9日、4人は意見書をHP上で公表し、この学会の対応に抗議している。
【日本金属学会 学術誌の不正行為対応規程】
3条(告発の方法)1項
「顕名で、当該論文の著者、不正行為の内容を明示し、かつ不正とする科学的合理的理由を示して告発するものとする」
6条(本調査)1項
「予備調査の結果、不正行為の可能性が高く本調査の必要があると決定した場合、被告発者が所属する研究機関に本調査を要請しなければならない」
