東北大学新聞:

オゾンによる燃費効率増加を確認 他分野へ応用の可能性も

本学流体科学研究所電磁知能流体研究分野の西山秀哉教授、高奈秀匡講師の研究グループは本田技術研究所との共同研究でエンジン吸入空気の一部を低温プラズマ化させオゾンを発生させることで、反応性を高め、着火時間を短縮させることにより、燃焼の効率を改善させる実験に成功した。

オゾンは酸化力や漂白作用が強く、反応性が高い化学物質であり、一般には空気中で無声放電(誘電体バリア放電)により得られる。
今回の実験の主旨はエンジン内部のガソリンを燃焼させる部分の上流にある吸気管において常温負圧下でプラズマにより空気からオゾンを発生させ、燃費にどのように影響を与えるかというもの。同研究グループは主に実験の目的にあった空気活性化ジェットトーチの開発とオゾン濃度などの測定、反応生成物濃度の計算シミュレーションなどを担った。
低温プラズマの発生は誘電体バリア放電という技術を用いて行われる。装置は円筒形の高圧電極とその外側のアース電極から構成され、アース電極の内側に誘電体を装着したものである。高周波の高電圧を印加すると誘電体と高圧電極間に放電が発生し、高速電子の衝突によりオゾンや活性酸素、二酸化窒素などの反応性の高い化学物質が生成する。このとき、電圧を低くし、いかに少ないエネルギーを用いてオゾンの濃度を増加させるかが省エネに繋がっていく。
同研究グループでは高周波電圧の強さを一定の低い値に保ち、誘電体の材料や電極表面の粗さ、電極間の間隔などを変え、実験とコンピューターを使った数値解析などでオゾンの発生量が最大になるときの最適な条件を統合解析した。しかしオゾン濃度があまりに高いと機械内部の材料が腐食する恐れや、吸気管内で着火する危険性があるためオゾン発生のタイミングや電圧の値は調整された。
また、今回は本田技研との協力で空気活性化装置を備えたバイク用小型エンジンを試作。このエンジンには数10ワットの電力で2000ppmの高濃度オゾンが生成する装置が使われた。実験により、特に発進時や低速走行時での燃費改善に顕著な効果が表れることが確認された。ただし、電源装置の小型・軽量化、またオゾンに対する安全対策などが今後の課題としてあげられた。
今回研究を行った西山教授は「ちょっとしたエネルギーを与え空気の一部のみをプラズマ化し、非常に化学反応性を促進させると、エネルギー効率も上がるし、物質を分解させることも可能である。我々はたまたま燃焼改善に応用したが、今後、材料の表面改質、水質および室内環境浄化、微粒子表面の汚染除去、農水産業への応用など様々な形で利用されていくだろう」と熱く語った。

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