東北大学新聞:

総長論文問題 対応にずれ

日本金属学会やナノ学会など11学協会が共同刊行する学術誌に掲載された井上明久・本学総長らの論文について本学教授ら2人がナノ学会を通して同誌へ投稿した質問状に井上総長らが回答していない問題で、本学は回答する必要がない理由として学術誌の共同刊行編集委員会の「取り決め」を挙げている。11月5日、学友会報道部は「取り決め」の詳細を尋ねる再質問状を、日本金属学会を通して同編集委員会へ提出した。

同誌Materials Transactionsを共同刊行する学協会の1つであるナノ学会(会長は川添良幸・金属材料研究所教授)は、1月16日、大村泉・経済学研究科教授と高橋禮二郎・国際文化研究科客員教授の2人から学術誌への投稿を受付けた。1月22日、ナノ学会は2人の質問に回答するよう井上総長らへ要請したものの、回答期限までに回答はなかった。
報道部の質問状に対する大学の4月30日付回答によれば、「『同誌で問題が生じた場合、論文の著作権を持つ学会が責任をもって対応する』という編集委員会の『取り決め』があるため、井上総長らへ回答を要請する権限がナノ学会にない。よって教授ら2人の質問へ回答する必要はない」と大学は考えている。
6月19日、報道部は①「取り決め」の経緯の説明と②編集委員会の議事録の提供を求める質問状を日本金属学会を通して編集委員会へ提出したが、回答期限の6月26日までに回答はなかった。
7月6日、報道部の電話取材に対し、梶原義雅・日本金属学会事務局長は「議事録は内部資料で基本的に非公開であるため、議事録は提供できない。よって6月19日付質問状に対し回答の必要はない」と述べた。
しかし、前回質問①に回答しない理由と回答期限までに回答しなかった理由については、4度に渡り電話で梶原事務局長へ質問したものの報道部は梶原事務局長の説明を理解できなかった。
これを受け改めて文書による回答を求めるため、11月5日、報道部は再質問状を送った。
11月6日の電話で梶原事務局長は「議事録は内部用の資料であり、外部の人が読んで齟齬がないようには必ずしも書かれていない。内容を正しく理解してもらうため、質問状に対し文書で回答したいと考えている」と私見を述べ、「11月5日付再質問に対する最終的な判断は原信義・編集委員長(本学工学研究科副研究科長)がする」と付け加えた。
11月5日付再質問の概要は次の通り。
【質問1】報道部の6月19日付質問状に対し、編集委員会が回答しない理由は。
【質問2】2月17日の教育研究評議会で、渡邉誠・理事(当時)は「取り決め」を根拠に、教授ら2人の質問に回答する必要がない旨を説明した(4月30日付大学回答)。渡邉理事は「取り決め」を知っていた。編集委員会が理事へ説明をしたならば、誰が、いつ、どのような内容を、どのような理由で理事へ説明したのか。議事録は提供したのか。
【質問3】梶原事務局長は、「事実関係は本紙09年5月号の通り」と7月6日の電話で発言した。これは編集委員会の見解なのか。編集委員会も大学と同様、ナノ学会には井上総長らへ回答を要請する権限はない、と判断しているのか。
【質問4】「井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会」は同会HPで、共同刊行編集委員会の第9回議事録案と第10回議事録とするものを公表している。これらの内容は正しいのか。

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