東北大学新聞:

景教聖人説の掛け軸 米メトロポリタン美術館へ展示

山梨県甲州市天目山栖雲寺(せいうんじ)の虚空蔵菩薩画像の掛け軸が、本学文学研究科の泉武夫教授らの発見により中国元王朝時代の貴重な美術品であることが判明した。これによりアメリカのメトロポリタン博物館で開催される企画展「フビライ・ハン時代の美術」に展示されることとなった。

栖雲寺の掛け軸に関しては、当初はキリシタン大名である有馬晴信の肖像画であると考えられていた。しかし、色彩の状態や掛け軸に使われている素材、描き方などの調査を進めるうちに中国の元王朝時代のものだということが確認された。さらに、泉教授は菩薩画の左手に持つ十字架に着目し、その特徴から掛け軸に描かれているのはネストリウス派キリスト教(景教)の聖人であるという新説を立ち上げた。一方、京都大学の吉田豊教授らは掛け軸に描かれている人物の服に注目。服に描かれている印がマニ教の聖職者のものと一致することなどから掛け軸に描かれているのはマニ教の聖人だとする説を構成した。現在、これら2つの説が並び立っておりどちらが正しいと断定はできない状況である。
今回の件につき泉教授は「栖雲寺の掛け軸がネストリウス派キリスト教の聖人を描いたものならばこれまで同派の聖人を描いた画像は残っていないため大変貴重なものである。また、マニ教の聖人を描いたものであっても元王朝時代の貴重な資料なあることには変わりない」と語った。
泉教授らの新説を受けてメトロポリタン博物館の学芸員が栖雲寺を訪問し調査。その上で、掛け軸の出展のための借り入れを求めた。なお、現在掛け軸の傷みが激しいためメトロポリタン博物館の費用負担で修復中である。

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