東北大学新聞:

狂乱辛鍋日記

最近まで巷で話題になっていた「インフルエンザ」。その脅威は今や下火になってきたものの、未だに我々の生活に影響を与え続けている。我々報道部はこの猛威に対抗する策を色々と挙げてみた。乾布摩擦、寒中水泳、タミフル・・・。タミフルはマズくね!?う~ん。どうせインフルをシャットアウトするなら食べ物を食べながらとかがいいよね~。

じゃあ激辛鍋でいいんじない?。
そう、「鍋」だ。この仙台の寒空の下において、体を温め、発汗作用を促す鍋こそ、至高のインフル対策ではないか。というわけで鍋企画をやることになった。実にずさんな算段である。が、この安易な裁断が後に最悪の結末を迎えることになってしまうのである。
当の鍋であるが、単に温かい鍋では面白くなかろうという案が出たので激辛鍋に予定を変更した。この時点で私には既に嫌な予感がし始めていたのだ。早速八幡CO○Pにて大量の辛味を調達し、部室で地獄の宴が始まった。
最初の鍋はキムチエキスを使った普通の鍋である。ほんの少し舌がピリピリするだけである。実に美味しい。
いかん、今回はただ美味しさを求めるだけの企画ではない!ただひたすらに部員達と仲良く鍋をつつき合うことにうつつを抜かし当初の目的を忘れるところだった。私は心を鬼にして二つ目の鍋へと段階を移行した。
二つ目の鍋は壮絶であった。坦々麺の元をベースに、鳥インフルエンザ対策の為の鳥ガラだし、大量の輪切り唐辛子、コチュジャン、マスタード、練からし、わさび、ハバネロぺッパー、そして最後にデス・ソースを加えたサディスティックな鍋である。デス・ソースというのは2~3人前の鍋に2、3滴入れただけでとてつもない辛さになる最凶の調味料である。これら全てを組み合わせたことで凶悪な激辛鍋が誕生した。部員達がおそるおそる口にした次の瞬間、そこは阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。唇を真っ赤に膨れ上がらせた者、デス・ソースが顔にかかってしまい痛さに悶え苦しむ者、突然叫び声を上げ出す者・・・。最早インフル対策の企画であることを覚えている者はただの1人もいなくなった。
最後の鍋は常軌を逸していた。二つ目の鍋に加え、殺人的な量のからしやわさびを大量投入、さらには焼きそばソース、揚げ玉、ジャワティー等も加えられていった。この鍋を食べる頃には部員達の眼にはもう精気は消え失せていた。中には、「この鍋、案外旨いかも。」「もっと焼きそばソースかければ旨くなるかも。」等という狂気を孕んだ言の葉を放つ者もいたくらいだ。かくいう僕もこの時点で既に天国が見えていなかったと言われれば嘘になる。はっきり言おう。僕には天国が見えていたのだ。天使達は僕に大量の唐辛子を口一杯に押し付けてくるのだ。だが僕は何の抵抗も出来ない。むしろ、その事実を感受していたのだ。
鍋を終えたあと、企画に参加した部員の目には怪しい光が宿っていた。
今回のトンデモ企画ではっきりしたことは一つである。インフル対策に傾倒していくと、行き着く先は一種の鍋に対する盲信である。筆者が翌日酷い痔と腹痛を引き起こしたことは言うまでもない。こんな状態になるくらいだったら、おとなしくインフルエンザにかかった方がよかったんじゃ・・・。いや、それは考えるまい。
読者のみんなには絶対に真似しないで欲しい。これは本当に危ない行為である。

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