Professor Koichi Masubuchi Award 佐藤裕准教授が受賞
工学研究科佐藤裕准教授が米国溶接学会のProfessor Koichi Masubuchi Award(増渕賞)を受賞した。佐藤准教授の専攻は材料システム工学。摩擦攪拌接合(FSW)と呼ばれる溶接技術の材料学的な研究が高く評価され、今回の受賞に至った。授賞式は昨年11月17日にアメリカ・シカゴ市で行われた。同賞の受賞者は溶接研究においてすぐれた業績をあげた若手研究者(40歳未満)を対象に毎年世界中から1名が選出される。その名称はマサチューセッツ工科大学(MIT)の名誉教授で、溶接研究の権威である増渕興一氏にちなむ。佐藤准教授の恩師である粉川教授も20年ほど前に同賞を受賞している。
佐藤准教授が研究している摩擦攪拌接合は金属溶接の分野で今もっとも注目を集める溶接方法のひとつ。先端の突起した円筒状の工具を高速回転させることで、金属同士の接合部分を高温にして混ぜ合わせる。金属をとかすことなく溶接が可能なことから、革新的な接合技術として広く普及。接合部分の性能低下を防ぐことができるため、特に近年開発が進む新材料の分野での応用が期待される。アルミニウムなど軽金属の溶接によく用いられ、軽量型の自動車やロケットの外部燃料タンクの製造にも使われる。
佐藤准教授が摩擦攪拌接合の研究を始めたのは1997年。助手当時、粉川教授から紹介されたサンプルを調査したことがきっかけだ。摩擦攪拌接合はその6年前にイギリスの研究者によって開発された新手法。「接合の考え方が斬新すぎて、初めは解釈の仕方がわからなかった」と佐藤准教授は当時を振り返る。それまでの摩擦攪拌接合に関する研究は体系的なものではなく、経験的な側面が強かった。佐藤准教授はこれに対して学術的な研究を試み、材料学的なアプローチを実施。多くの論文を手がけ、2003年から1年間はアメリカの大学で博士研究員として研究活動を行った。この時、精力的に自身の研究成果をアピールしたことが今回の受賞において大きな意味を持ったという。
佐藤准教授は、自身の研究を顧みて「溶接という分野はまだまだ学問的なアプローチが必要。これからはオンリーワンの研究にチャレンジしていきたい。今回の受賞はたいへん光栄におもいます」と顔をほころばせた。
