IIS研究センター発足 産業の活性化を視野に
今年3月、本学大学院工学研究科に産学官連携研究開発拠点「情報知能システム(IIS)研究センター」が発足した。工学研究科を中心に情報科学研究科や電気通信研究所から電気情報系の80研究室が参加し、組織横断的な産学連携を推進する。学内の研究を熟知したスタッフに行政や民間出身の特任教授を迎え、企業との橋渡しを円滑化する。
これまで本学の電気情報系に蓄積されてきた研究成果を活用し、研究開発型企業の拠点誘致も行う。学内の施設を使っての共同研究に取り組むことで、企業との結びつきを強化。仙台市が昨年度から3年間で約1億1000万円をセンターに助成する方針を決めるなど、行政を含めた産学官連携が推進されている。
80研究室が参加しての産学官連携拠点の形成は国内最大規模。IIS研究センターが中心となり、実際の研究活動と企業との連携活動を直接的に結ぶことで、効率的な技術移転を図る。産業への応用促進のため、各研究室を「モビリティ・ロボティクスグループ」や「画像・映像グループ」などの応用分野別にグループ化する。多様な研究をグループ化することは、将来的に多くの需要が見込まれる電気自動車などの産業においては有効な手段。複数の技術を組み合わせることで、新たな産業創出の提案が可能となる。企業からの問い合わせには、3名の特任教授を充て、外部スタッフの協力も得る。
青木孝文副センター長(情報基礎科学専攻)は「いま自動車は電化製品になりつつある」と指摘する。エンジンのモータ化により、旧来の自動産業車という枠組みをこえて、新技術の導入や次世代の交通網が形成されつつある。近年、注目を浴びているカーシェアリングでは自動車間のネットワーク網整備が不可欠だ。また、電気自動車に関するインフラ部門(非接触給電システムなど)が本格的に産業化されると見込まれる。運転時の死角をなくすため、フロントガラスそのものをディスプレイ表示にするという発想も、実現性は高い。「そうした『未来の車』を実際に産業化するためにも電気情報系の技術を駆使していくことが必要」(青木副センター長)。機械系や次世代移動体システム研究会との連携も視野に入れる。
こうした大学発の技術による産業の活性化には、自治体や地元企業からの期待が大きい。IIS研究センターでは研究開発型企業の誘致とともに、試作制作などで地元中小企業が新産業へ積極的に関与できる仕組みづくりを目指す。地元企業への技術支援や人材育成支援などでバックアップする。
安達文幸センター長(電気・通信工学専攻)は「産業の活性化のために当センターが果たせる役割は大きい。研究のグループ化による魅力を十分に発信していきたい」と語った。
