経済学研究科 西出准教授 NPO学会最優秀賞受賞 日本版SCの発見を評価
本学経済学研究科西出優子准教授の著作『Social Capital and Civil Society in Japan』が2009年度日本NPO学会賞優秀賞を受賞した。西出准教授はこの著作でこれまで主に西欧社会で議論されてきたSocial Capital(以下SCと略)が日本社会にも伝統的に存在することを明らかにした。そこからNPOがSCを創出する役割を果たしており、SCが豊かな地域はNPOも活発であるという相互関連性を示し、NPOへの政策介入の効果を提唱した。
SCを日本語で表すと社会関係資本。人々の間の信頼や助け合いといった目に見えない資本のことである。SCの研究はこれまで欧米で多く行われてきたが、日本ではこの分野に関する英文の著作が少ない。国際比較や日本におけるSCの存在を海外に発信するために英文での著作となった。
西出准教授は日本で具体的にSCが確認できた事例として平成16 年7月に福井県で起きた水害での救援活動を挙げている。この災害救援では地域にSCが存在していたために迅速な活動ができた。またこの救援活動から新たなSCも生まれた。
SCには二つの種類がある。一つは仲間内で帰結する内部結束型。もう一つは異なるものを結びつける橋渡し型。現在の日本の農村や地方で見られるSCは前者が多い。SCは前者と後者がバランスよく存在することが望ましいとされる。
今の日本のNPOのあり方や関連制度には問題点も指摘されている。国内には約4万のNPO法人がある。しかし、その中に政府から認定されて税制上の優遇措置を受けている認定NPO法人は100程度にとどまる。また、西出准教授がNPO法人の公開した事業報告書と財務報告書を調査した結果、年間事業高の合計が60億円に達した。一方で、調査した法人の六割の事業報告書が1枚にとどまっていた。この程度の情報公開では市民から見て評価をすることが難しいため比較ができず、参加や寄付が広がりを持てないでいる。改善するにはNPOの自覚が大切になる。
宮城県や仙台市は、行政のサポート体制の構築や条例の制定が早く全国的にはNPO活動で先進的な県であった。しかし、常に全国のトップにいるわけではなく更に活動を盛んにする必要がある。
西出准教授は今後について研究と実践を通して地域の課題解決に取り組む方針だ。西出准教授は「童話『星の王子様』の中で言われるように一番大切なものは目には見えないもの。目には見えないSCで物事を見るようにすれば心の豊かさを見ることができる」と語った。
