モータ磁石の戦略会議が発足 資源リスクへの対応を議論 人材育成や活発な情報交換を目指す
電気自動車や省エネ家電などに欠かせないモータ磁石の資源リスク対応や高性能化について議論する「東北モータ磁石イノベーション戦略会議」が発足した。産官学の関係者が一堂に会して、モータ磁石の研究開発や人材育成、地域産業の振興などの情報交換・議論を行う。本学の杉本諭教授と高橋研教授が中心となり研究開発を推進。東北地方でのモータ磁石関連産業の集積も目指す。本学の未来科学技術共同研究センター(NICHe)が事務局を務める。
6月17日、青葉山キャンパス工学部管理棟大会議室で開催された第1回会議では、産学官の代表者による講演やパネルディスカッションが展開された。今後、毎年1回こうした会議を開き、研究開発や関連産業についての情報交換や議論が行われる。会議構成メンバーには東北各県や仙台市などの地方自治体をはじめ、東北経済連合会、自動車メーカーなどが参加する予定となっている。
本会議が設立された背景には、近年注目を集めるモータ磁石の急激な需要増加と資源リスクの問題が存在する。電気自動車開発など低炭素社会に向けた基盤整備には、モータ用の「Nd‐Fe‐B系磁石(ネオジム磁石)」が欠かせない。電気自動車のモータで使用される場合には耐熱性向上のためディスプロシウム(レアアース・希土類の一種)が併用される。しかし、ディスプロシウムの約98%が中国に偏在しており、06年以降は輸出制限が強まる。
こうした資源リスクを軽減するため、本学では杉本諭教授を中心にディスプロシウム使用量低減技術の開発研究を進める。07年から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに採択され、ディスプロシウム使用量の30%削減を目指している。一方、レアアースを用いない新規の高性能永久磁石の開発を手掛けているのは高橋研教授。NEDOから今年1年間で10億円が投じられる大規模プロジェクトとなっている。
こうした磁石研究の集積が進む本学を中心とした拠点形成には産業界から大きな期待が寄せられている。特に自動車産業ではモータ磁石の資源確保や高性能化が喫緊の課題。関連する「次世代移動体システム研究会」など学内の取り組みとの連携も視野に入れる。NICHeの小澤純夫副センター長は「モータ磁石に関する技術力は日本が世界一。資源リスクを克服するためにも、性能向上や技術革新に挑戦していかなくてはならない」と意気込みを語った。
